転職活動の末、
ぼくは、 人材紹介会社への転職を決めました。
勤務地は、 地元・大阪。
栃木を離れることになります。
退職を上司へ伝えたのは、
最終出社日の、 約1ヶ月前でした。
正直、 かなり緊張していました。
でも、 返ってきたのは、
怒りではありませんでした。
「もったいないなぁ…」
そんな言葉でした。
本部長からは、 こんなことも言われました。
「本当にもったいない」
「なんでだよ!って思ったよ」
それが、 なんだかすごく嬉しかった。
必要としてもらえていたんだな、
って思えたからです。
そこから、
少しずつ社内にも話が広がっていきました。
すると、 いろんな人から電話が来ました。
「マジで辞めるの?」
「寂しいな」
「〇〇くんいなくなるのキツいわ」
そんな言葉を、 たくさんもらいました。
昔のぼくだったら、
きっと信じられなかったと思います。
営業だけは絶対嫌だった人間が、
辞めることを、 こんなに惜しんでもらえている。
なんだか、 不思議でした。
お客さんにも、 少しずつ報告していきました。
すると、
ご飯に連れて行ってくれるお客さん。
「ふらふらしてちゃダメよ?」 と、 親みたいなことを言ってくるお客さん。
そして——
栃木には、 結局1年しかいなかったぼくに、
餞別をくれるお客さんまでいました。
正直、 びっくりしました。
だって、
最初は名前すら覚えてもらえてなかったんです。
転勤数日で上司が倒れてしまい、引き継ぎすらなかったのですから。
そんな自分に、 ここまでしてくれる人がいる。
全部、 嬉しかった。
退職までの残りの期間、
お世話になった方たちへ、
全国各地へ電話をかけました。
「ありがとうございました」
その言葉を、 何回言ったか分かりません。
でも、 全然足りない気もしていました。
営業だけは、 絶対嫌だった。
社会人になるということは、
“懲役40年”みたいなものだと思っていました。
でも、 違いました。
働くことは、 苦しいだけじゃなかった。
誰かに頼られること。
必要としてもらえること。
誰かの役に立てること。
それは、 想像していたより、 ずっと楽しかった。
気づけば仕事は、
ぼくにとって“生きがい”みたいなものになっていました。
そして最終出社日・・・。
最後の挨拶を終えて、 会社を出る。
自転車に乗る。
いつもの帰り道。
気づいたら、 少し泣いていました。
なんか、 終わったんやなって。
しんどかったことも。
吐きながら出社したことも。
怒られたことも。
笑ったことも。
全部、 一気に思い出していました。
そしてぼくは、
栃木を後にして、 次の場所へ向かいます。
もっと、 人の感情が動く仕事へ。
もっと、「この人に任せたい」 と思ってもらえる仕事へ。
社内外の方から、
もっと頼られるスキルを追い求めて・・・
営業だけは嫌だった男の、
ファーストキャリア編は、これでおしまい。


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