第8話:——営業を、理解したくなった——

営業物語

展示即売会が終わってから、
ぼくの中で、 少しずつ変わったことがありました。

前までは、

「どうやってサボるか」

「どうやって怒られないか」

そんなことばかり考えていたのに、

気づけば、 営業のことを考える時間が増えていました。

特に気になったのは、“仕事ができる人”たちでした。

エース社員の先輩は、電話に出るとき、

「もしもし〜?」

みたいな軽いテンションで出る。

(え、そんな感じいいん…?) と思っていました。

でも電話の向こうのお客さんは、 めちゃくちゃ楽しそうに話している。

部長なんて、 お客さんと友達みたいに話している。

もちろん、 相手や業界によると思います。

でも当時のぼくには、 それが衝撃でした。

(営業って、 バカ真面目に対応するだけじゃないんやな…)

それまでのぼくは、

“ちゃんとすること”ばかり考えていました。

失礼がないように。
怒られないように。
ミスしないように。

でも、 本当に信頼されている人たちは、 もっと自然体だった。

その空気感が、 なんだかすごくかっこよく見えました。

そこからでした。

高いレベルで仕事をしている先輩の案件に、

自分から首を突っ込むようになりました。

「あのお客さんって、今どうなってるんですか?」

「どうやったらそんなふうにできたんですか?」

そんなことを、 先輩たちに聞きまくっていました。

そして、 自分なりに考える。

(自分ならどうするやろ)

(なんでこの人は信頼されてるんやろ)

前までは、 仕事が終わったら、 仕事のことなんて考えたくありませんでした。

でもこの頃から、 頭の中にずっと営業がいる。

漫画を買いに本屋へ行ったのに、 気づけば営業本を持ってレジに並んでいる。

(ナルトを買いに来たのに・・・!?)

通勤中、 営業本を読みながら、 ノートにメモを取る。

「情報はお金」
「価格より、買う理由」
「営業は論破じゃない」

必死に、 書き殴っていました。

今見返すと、 字も汚いし、 何を書いてるか分からないページもあります。

でも当時は、 それくらい夢中でした。

資料作成でも、

「もっと見やすくできないか」

「このエクセル便利そうやな」

そんなことを調べるようになっていました。

ちなみに、 新卒配属初日。

パソコンの電源ボタンの場所が分からなかったのは、 内緒です・・・

そして、 もうひとつ変わったことがありました。

あれだけ嫌だった飲み会です。

新人の頃は、 終電で泣くほど嫌だったのに、

いつの間にか、 先輩や上司と仕事の話をする時間が好きになっていました。

とはいえ、 お酒は相変わらず弱いので、

飲み会でうまく立ち回る方法ばかり覚えていったんですが。

それはまた、 別の機会に書こうと思います。

今思うと、 この頃のぼくを動かしていたのは、

“向上心”というより、 “好奇心”でした。

「なんでこの人は信頼されるんやろ」

「なんでこの言い方で売れるんやろ」

「なんで同じ商品なのに結果が変わるんやろ」

そんなことばかり考えていました。

そして気づけば、

「どう売るか」より、

「なぜ人は動くのか」
「なぜビジネスは回るのか」

そんなことばかり考えるようになっていました。

(続く)

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